大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)272 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名弁護人内田松太の上告趣意第一点について。

所論の勅令一条二項にいわゆる「輸出しようとした者」とは海上にあつては目的

の物品を日本領土外に仕向けられた船舶に積載する行為に接着せる手段行為の遂行

に入つた者を指すものと解すべきことは当裁判所の判例とするところである(昭和

二三年(れ)第四五〇号同年八月五日第一小法廷判決、同二四年(れ)第一九四六

号同二五年一月一九日同法廷判決)。ところで原判決の認定した事実は、要するに

被告人A、第一審被告人B外五名等が、それぞれ、貨物を携えて朝鮮に密航しよう

と企て、被告人Cに同人がDから買受けた機帆船E丸で判示の貨物を輸送すること

を依頼し同人の承諾をえたので、被告人A等は昭和二三年五月三〇日夕刻頃から午

後九時頃迄に、判示の貨物を福岡市a町のF事G方飯場内及び同家附近の住宅営団

倉庫前に運搬集積して、同所から僅々二九一米余の近距離にある判示H株式会社工

場近くの岩壁下に同夜右機帆船の回航してくるのを待ち、他方被告人Cは同船長I

に命じて、同船を同日午後b島に回航せしめ更に同島から同夜被告人A等が貨物を

集積して待機している前記場所近くの岩壁下に向け航行せしめていたところ途中で

警察に発見されたというのであることは、原判示と挙示の各証拠に照して明らかな

ところである。きれば、被告人A等の判示所為は既に輸出の実行に接着する行動に

出たものたること勿論であるから被告人等は所論勅令一条二項にいわゆる輸出しよ

うとした者に該当するといわなければならぬ。従つて被告人等を同条項によつて処

断したからといつて、原判決にはいささかも違法のかどはない。論旨はとるをえな

い。

同第二点について。

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しかし、原判決が証拠として引用した所論検証調書中の記載は、所論のように立

会人Iの供述記載ではなく、同人が検証の際にした指示説明に基ずいて検証官がし

た検証の結果そのものであることは判文上明らかなところであるから、所論は原判

決の証拠説明にそわない事実を独断して原判決の採証を非難するにとどまるもので

あつてとるをえない。よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員一致の意見で主文の

とおり判決する。

検察官 渡部善信関与

昭和二六年五月一七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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